青山学院大学ジェロントロジー研究所

研究所紹介

所長あいさつ

WHO(世界保健機関)と国連は、総人口における65歳以上の高齢者の割合を高齢化率と定義しています。高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%超で「高齢社会」、21%超で「超高齢社会」といいますが、今の日本はどれでしょうか。日本は1970年に高齢化社会になり、1995年に高齢社会に入り、すでに2007年に超高齢社会に突入しています。総務省が敬老の日に合わせて行う公表によると、2018年の高齢化率は28.1%でした。高齢化率は今後も上昇の一途をたどり、2060年には約40%に達すると推計されており、「超・超高齢社会」とでもいうべき未来は確実に到来します。日本の総人口が減少する中で人口が高齢化し、医療や介護、年金などの社会保障費が増大し、産業・経済・文化の活力が低下してと、果たして日本の未来は、閉塞感に満ちたものになるのでしょうか。いや、そんなはずはないし、そんなことがあってはなりません。医学の進歩により健康長寿の高齢者が増える今だからこそ、高齢者の知恵や技術を新たな社会資産、高齢者の貯蓄や不動産を新たな経済市場ととらえることができます。この発展的思考で、若者から高齢者までがお互いを支え合う社会システムを構築できれば、日本は持続可能な発展を遂げるでしょう。明るい「超・超高齢社会」の実現に向けて、大学は何をすべきでしょうか。青山学院大学はジェロントロジー研究所を設立し、超高齢社会に資する研究を加速し、老いや高齢者に関する教育や文化を発信します。これらの活動を通して、希望に満ちた「超・超高齢社会」の構築に本学のリーダーシップを発揮したいと考えています。

ジェロントロジー研究所 所長
平田 普三

ジェロントロジー研究所について

ジェロントロジーとは、ロシアの微生物学者イリヤ・メチニコフ(ノーベル生理学・医学賞受賞)が提唱した「老年学」を意味する造語ですが、近年は超高齢社会に資する学際研究分野として認識されています。では、超高齢社会に資する学問分野にはどんなものがあるのでしょうか。加齢を対象とする医学・薬学・生物学などの自然科学、高齢者の生活の質を高める電気工学・機械工学・建築学・食品科学などの応用科学、高齢者を対象とする政治学・法学・経済学・経営学・社会学・教育学などの社会科学、老いを対象とする哲学・宗教学・人類学・歴史学・地理学・文学・心理学などの人文学など、多くの学問分野がありますが、近く到来する「超・超高齢社会」を豊かなものにするためには、これらの学問のたこつぼ的な発展ではなく、学問領域の境界を超えた学際的な発展こそが必要です。

青山学院大学は2018年4月にジェロントロジー研究所を設立しました。本研究所はジェロントロジーという視点で学内の自然科学・応用科学・社会科学・人文学をまたぐ学際研究を活性化し、また山野学苑など学外との連携も加速することで、ジェロントロジーの新分野開拓やイノベーションを目指します。また、長寿をありがたく喜ばしいものとする教育や文化を発信することで社会にジェロントロジーを啓蒙し、持続可能な「超・超高齢社会」の実現に邁進していきます。

 

ジェロントロジー研究所 紹介動画